社内公募(社内転職)と、会社を変える転職。職種を変えたいと思ったとき、どっちを選べばいいのか。迷っている人は多いと思います。
私はこれまでに、その両方をやっています。1回目は損保から今の会社への転職。2回目は社内公募で、営業から経営企画への異動です。
後輩に「どっちがいいですか」と聞かれたら、私は「絶対に公募」と答えます。
ただし条件があります。変えたいのが職種だけなら、です。この記事では、両方やってみて分かった違いを、準備の手間、お金、逃げ道、人間関係の順に書きます。
先に結論:変えたいのが「職種」か「会社・業界」かで決まる
選び方の基準を一言で言うと、こうなります。
| 変えたいもの | 選ぶ道 |
|---|---|
| 職種だけ | 社内公募(社内転職) |
| 会社・業界・働く場所ごと | 社外への転職 |
私の1回目の転職は、後者でした。損保を辞めたのは、全国転勤と仕事内容の両方が理由で、会社ごと変える必要がありました。このときの話は転勤が嫌で転職した記事に書いています。
2回目は、前者です。変えたかったのは営業という職種だけでした。
職種を変えるとき、社外への転職は考えなかった
営業から経営企画に移るとき、社外への転職で職種を変える道は考えませんでした。
理由は単純で、また一から新しい会社のことを覚えるのが、面倒すぎたからです。社内のシステムも、仕事の進め方のお作法も、会社ごとに違います。転職すると、それを全部覚え直すことになります。
社外に転職すると、評価や信用も一からになります。そのあたりは評価のリセットについて書いた記事にまとめました。
職種を変えるだけなら、そこまで背負う必要はありません。
準備の手間:社内公募のほうが短く済んだ
準備にかかった手間も、かなり違いました。
社内公募のときは、生成AIがかなり使えたので、エントリーシートから想定問答まで、効率よく準備できました。
数年前に転職したころは、そうはいきませんでした。書類も面接の準備も、自分の手で一から作るしかなく、時間がかかりました。
ここは正直に書いておくと、手間の差には、社内か社外かだけでなく、道具が変わったことも効いています。今から転職するなら、転職のほうも生成AIで準備はかなり楽になるはずです。
社内公募の準備で何をしたかは、社内公募の記事に書いています。
お金:どちらも、ほぼ変わらなかった
年収は、どちらの移動でもほぼ変わっていません。
社内公募のほうは、グループ内では給与の水準がそろっているので、職種を変えても年収は動きませんでした。
転職のほうも、額面はほぼ同じでした。ただ、細かく見ると少し事情があります。
- 損保は転勤が前提なので、借り上げ社宅がありました。その分を考えると、転職して下がったとも言えます
- 一方で、損保の営業には「営業協力」として、取引先の代理店から車やスーツなどを買わなければならない場面がありました。今はそういう営業協力はないはずですが、当時はあった
この2つを差し引くと、手元に残るお金は、たぶん変わっていないと思います。
ここから先は、私が考えたことです。転職で年収を比べるときは、額面だけでなく、社宅や手当、仕事に付いてくる出費まで含めて比べたほうがいい。額面が同じでも、手元に残る額は違うことがあります。
給料がどう決まるかは、給料テーブルの記事にも書いています。
合わなかったときの逃げ道は、社内のほうが多い
もうひとつ大きいのが、移った先が合わなかったときの逃げ道です。
転職を短期間で繰り返すのは、リスクだと思います。 経歴に、短い在籍がいくつも並ぶことになるからです。
社内の異動なら、そのあとすぐに転職しても、傷は浅いかもしれません。経歴の上では、同じ会社に勤め続けていることになるからです。
それに、前の部署との関係が良好なら、戻してもらうこともできるかもしれません。 社外に転職したら、この選択肢はまずありません。
元の部署とは、今も毎日のようにつながっている
その「関係」の話でいうと、私は今も、前の部署から毎日のように頼られる連絡が来ます。
無下にはしないで、真摯に向き合っています。
ここから先は私の考えですが、こういう関係が残っていることが、そのまま上に書いた逃げ道になっているのだと思います。社内公募で移るなら、移ったあとも元の部署を大事にしておくと、自分の選択肢を残しておけます。
両方やって比べると
ここまでの話を、表にまとめておきます。
| 社内公募(社内転職) | 社外への転職 | |
|---|---|---|
| 覚え直すこと | 少ない。システムも現場の動き方も分かっている | 多い。システムもお作法も一から |
| 評価・信用 | 一から | 一から |
| 準備の手間 | 生成AIで効率よくできた | 時間がかかった(当時は生成AIなし) |
| 年収 | 変わらない | 額面はほぼ同じ。手元に残る額もたぶん同じ |
| 合わなかったとき | 傷は浅い。関係が良ければ戻れるかも | 短期間で繰り返すとリスク |
| 前の職場との関係 | 続く。今も毎日のように頼られる | ほぼ切れる |
評価と信用が一からになるのは、どちらも同じです。違うのは、それ以外に失うものの量です。
公募に出る前に確かめておくこと
ここから先は、両方やった経験から私が考えたことです。
① 公募の制度があるか、直近でどんな部署が募集していたか
まずはここです。制度があっても、行きたい部署の募集が出ていなければ始まりません。
② 年収は変わらない前提で考える
グループ内で給与の水準がそろっている会社では、職種を変えても年収は動きません。年収を上げたいのが目的なら、社内公募は向いていない可能性があります。
③ 元の部署との関係を壊さない
移ったあとも頼られる関係が残っていれば、それがそのまま逃げ道になります。引き継ぎを丁寧にしておくのは、自分のためでもあります。
それでも、転職を選んだほうがいい人
ここまで社内公募の良いところばかり書きましたが、転職を選んだほうがいい人もいます。
- 会社や業界、働く場所ごと変えたい人(私の1回目がこれでした)
- 社内に公募の制度がない、または行きたい部署の募集が出ない人
この場合は、外を見るしかありません。そのときは、評価や信用はリセットされて、持っていけるのは仕事の中身だけになります。だとすると、その中身に社外でどんな値段がつくのかを先に知っておくと、動くかどうかの判断がしやすくなります。
今の経験でどんな求人があるかを、転職エージェントに聞いてみるのもひとつの方法です。たとえば、大手企業の人事出身者が転職をサポートする、というサービスがあります。(PR)
後輩に聞かれたら「絶対に公募」と答える
最後に、もう一度書きます。
職種を変えたいなら、絶対に公募です。社内には、いくらでも選択肢があります。
外の求人を探す前に、まず自分の会社の中を見てください。それで行きたい場所がないと分かってからでも、外に出るのは遅くありません。
まとめ
- 選び方の基準は、変えたいのが職種だけなら社内公募、会社や業界ごと変えたいなら転職
- 職種を変えるとき、社外への転職は考えなかった。新しい会社のシステムやお作法を一から覚えるのが面倒すぎた
- 社内公募の準備は、生成AIでエントリーシートから想定問答まで効率よくできた。転職のときは時間がかかった
- 年収はどちらもほぼ同じ。転職では社宅がなくなった分と、営業協力の出費がなくなった分で、手元に残る額はたぶん変わらない
- 転職を短期間で繰り返すのはリスク。社内異動なら傷は浅く、関係が良好なら戻れるかもしれない
- 元の部署からは今も毎日のように頼られる。無下にせず向き合っている
- 後輩に聞かれたら「絶対に公募」。社内にいくらでも選択肢はある


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