「前年比110%」を15年受け取ってきた営業が、目標を作る側に回って分かったこと

数字から見たキャリア
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営業を、通算で15年くらいやりました。損害保険会社で営業、IT業界に移ってからも営業です。

そのあと社内異動で経営企画に移り、今はグループ会社の事業計画を作っています。

つまり、目標を受け取る側を15年やって、今は目標を作る側にいることになります。

この記事では、その両方から見た「営業の数字」の話を書きます。

目標は、上から降りてくる

営業の目標は、当然のように上から降りてきました。

たとえば前年比110%。去年の実績に対して、今年はその1.1倍。こういう形で決まって、そのまま割り振られます。

本人の希望が入る余地は、何もありません。

今年は市場が厳しそうだとか、担当しているお客様の状況が変わったとか、そういう事情は目標の数字には反映されない。決まった数字を、どう埋めるかだけが問われます。

しんどかったのは、数字そのものより「追い方」だった

では、何がいちばん嫌だったか。

振り返ると、数字が高いこと自体より、数字を追うために求められる働き方のほうでした。

  • 付き合い残業をしなければいけない
  • 休日出勤しても、振替休日がない

数字が足りないとき、個人の工夫で埋められる部分は限られます。そうなると、結局は時間で埋めることになる。自分の仕事が終わっていても、帰りにくい空気がある。

目標が高いことより、その目標のために時間を差し出し続けることのほうが、長く続けるうえでは効いてきました。

同じ営業でも、業界で数字の追い方が違う

損保とIT業界、両方で営業をやってみて分かったことがあります。

同じ「営業の数字」でも、業界によって追い方がまるで違うということです。

IT業界(SIer)の場合

売上は、お客様の予算の額と、予算を申請できるタイミングに大きく左右されます。お客様の側で予算が取れなければ、どれだけ頑張っても受注はできない。

だから、ある時期に未達でも「まあ、それはしょうがないよね」となる余地がありました。

損保の場合

今月の数字が足りなければ、月末まで粘れ、となります。

締めまでに1件でも積み上げる。その月の数字は、その月のうちに何とかする。そういう追い方でした。

どちらが楽かという話ではありません。ただ、数字のプレッシャーの形は、業界の売り方の構造で決まっている、というのは両方を経験して実感したことです。

目標を作る側から見ると、何が見えるか

経営企画に移って、今度は目標を作る側に回りました。

作る側から見ると、目標の出発点には市場成長率という指標があります。その市場が1年でどれくらい伸びるか、という数字です。

そして、市場の伸びを上回るのは当然という考え方が前提にあります。市場が伸びているのに自社がそれ以下なら、シェアを落としていることになるからです。

さらに、何年かにわたる平均の成長率(CAGR、年平均成長率)も踏まえて、目標が立てられます。

つまり営業の目標は、一人ひとりの能力や事情から積み上げたものではなく、市場の数字から逆算されたものです。

正直に書くと、このやり方が正しいのかどうかは、作る側にいる今も分かりません。 ただ、少なくとも「なぜこの数字なのか」の理屈は、受け取る側にいたころよりはっきり見えるようになりました。

作る側に回ってから、経営企画で実際にどんな1年を過ごしているかは、営業から経営企画に移った話に書いています。

営業で身についたもので、今も使っているもの

営業を離れても、残っているものはあります。

ニーズを喚起して、見積もりを出して、契約して、請求して、アフターフォローをする。 この一連の営業現場の動きを、体で知っていることです。

事業計画を作る側になると、現場に対して指示を出す場面があります。そのとき、現場がどう動いているかを分かったうえで指示を出せる。 これは営業を15年やったからできることだと思っています。

手放したもの

逆に、営業を離れて手放したものもあります。

  • お客様との関係
  • 社内の先端ソリューションに触れる機会

お客様に提案するために、社内の新しい技術や製品を知る機会は、営業にいたからこそ多くありました。今の部署では、それが減っています。

営業を辞めたいと思ったら、先に分けてみること

ここから先は、私の経験と構造から考えたことです。

営業を辞めたいと思ったとき、嫌なのは次のどれなのかを分けてみるといいと思います。

  • 数字を持つこと自体が嫌なのか
  • 数字の追い方(付き合い残業、休日出勤、月末の粘り)が嫌なのか

前者なら、職種を変えることを考えることになります。私が社内異動で営業から経営企画に移ったのは、こちらでした。

後者なら、営業という職種は残して、業界や会社を変えるという選択肢もあります。上に書いたとおり、数字の追い方は業界の構造でかなり違うからです。

「営業が嫌だ」と「今の会社の営業のやり方が嫌だ」は、似ているようで、次に変えるものが違います。

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まとめ

  • 営業の目標は上から降りてくる。前年比110%のように決まり、本人の希望は入らない
  • しんどかったのは数字そのものより、付き合い残業や振替のない休日出勤といった追い方だった
  • 数字の追い方は業界で違う。SIerはお客様の予算の額とタイミング次第、損保は「月末まで粘れ」
  • 目標を作る側では、市場成長率を上回るのは当然という前提と、CAGRを踏まえて目標が立つ。それが正しいかは、今も分からない
  • 営業で身についた「現場の一連の動き」は、今も指示を出すときに使っている
  • 辞めたいと思ったら、嫌なのは数字を持つことか、数字の追い方かを分けてみる

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