営業から経営企画に移りました。転職ではなく、社内の公募制度を使った異動(いわゆる社内転職)です。。
職種を変えたいと思ったとき、多くの人はまず転職を考えると思います。私もそう思っていました。
でも実際にやってみて、外に出るより先に、社内を見たほうが早い場合があると考えるようになりました。
この記事では、実際にどう動いたかを書きます。
動いた理由は、前向きなものではなかった
先に正直なところを書きます。私が異動を考えた理由は、ほぼ全部ネガティブなものでした。
毎年、前年以上に稼ぎ続けなければならないことに、嫌気が差してきた。
営業の数字は毎年リセットされます。今年どれだけ良くても、来年はまたゼロから、しかも前年を超える前提で始まる。これが何年も続くと、終わりのない坂を上っている感覚になります。
有給の取得は推奨されるのに、まとまって休める状況にはならない。
制度としては休めることになっている。でも顧客がいる以上、1日空けることの調整コストが高い。結果として、細切れにしか取れません。
研修に申し込んでも、結局は顧客対応で出られない。
これがいちばん効きました。学ぶ機会は用意されているのに、目の前の対応が優先されて参加できない。この状態が続くと、自分の中に何も積み上がっていない感覚になります。
そして、上のポストに就いた人たちの働き方に、憧れを持てなかった。
同じチームから課長、部長になっていく人を何人も見ました。でも、自分より明らかに忙しそうでした。あそこを目指して頑張ろう、という気持ちにはなりませんでした。
この4つです。「経営企画をやりたい」という前向きな動機が先にあったわけではありません。
ただ、動機がネガティブだから間違っている、ということはないと思っています。今の場所で何が嫌なのかがはっきりしているのは、むしろ材料が揃っているということです。
いちばん効いたのは、応募する前にやったこと
ここがこの記事の本題です。
社内公募に出すとき、応募する前に、求人を出している部署に直接コンタクトを取りました。
そして、正式な応募の前に面談してもらい、疑問に思っていることを直接確認しました。
これをやると、何が変わるか。
書いてあることと、実際に求めていることのずれが分かります。 募集要項は当たり障りのない言葉で書かれているので、そこから実際の業務を想像するのは無理があります。
そして、こちらの人物像を先に伝えられます。 正式な選考の前に一度会っているので、書類が届いたときには「あの人か」という状態になっています。
社外の転職ではこれができません。応募前に現場の人に会わせてくださいと言っても、まず通りません。社内だからできることです。
これは制度の裏をかいているわけではなく、社内公募を出す側も、ミスマッチで来られるほうが困るからです。事前に話せることのメリットは、双方にあります。
上司には黙って動きました。この部分は人によって判断が分かれるところだと思います。
営業しかやってこなかった人間が、どう説明したか
「営業しか経験がない人が、なぜスタッフ部門に行けると思うのか」
これは必ず問われます。私が説明したのは、こういうことでした。
営業の現場では、年間の着地見込みなどを報告する側にいました。
報告する側にいると、報告様式の使いにくさが分かります。この欄は何のためにあるのか、なぜこの粒度で出さなければいけないのか。スケジュールについても同じで、この時期にこれを出せと言われる苦労を、実際に受ける側として経験しています。
逆の立場になれば、それらを考慮した運営ができる。
これが説明の全部です。
ポイントは、管理部門の仕事の経験を語ったのではないということです。語ったのは、管理部門の仕事を受ける側にいた経験です。
そしてこれは、後から答え合わせができました。受け入れる側は「営業や開発など、現場にいた人の経験を求めていた」と言っていました。
管理部門は、現場を知らないまま制度や様式を作ってしまう危険を、自分たちで分かっている。 だから現場出身の人間に価値を感じます。
未経験だから不利、という単純な話ではありません。
損したことも書いておく
いいことばかりではありません。
前年の評価はプラスでした。そして、自分が種をまいた案件が、異動した後に花開いています。 後任がその案件を受注し続けている。
残っていれば、今年もプラス評価だったかもしれません。
営業の成果は、種まきから受注までに時間差があります。動くタイミングによっては、自分がまいたものを他人が刈り取る形になる。
これは避けられないと思っています。ただ、事前に分かっていれば覚悟はできます。
離れるときにやったこと
異動が決まってから、元の部署を離れるまでにやったのは、引き継ぎの徹底です。
そして、異動した後も、後任が気軽に連絡してこられるようにしておくこと。
これは意識してやりました。というより、転職ではないからできることです。
社外に出ると、前の会社の人に聞くのは気が引けます。でも社内異動なら、同じ会社の中にいる。後任にとっては、前任者がまだ手の届くところにいるというのは大きい。
この配慮は、そのまま自分の信用にもなります。
社内で動きたいなら、ふだんからできること
実際に公募が出てから動き始めると、たぶん間に合いません。
私がやっていたのは、公募が出るたびに、ほとんど全部の求人を確認することでした。
公募の募集要項には、求める人物像や、その仕事で得られる経験が書かれています。それを毎回読んで、自分がそこにいる姿をイメージしていました。
これを繰り返していると、2つ変わります。
ひとつは、どの部署が何を求めているかの地図ができること。 自分の経験がどこと接続しうるのかが、だんだん分かってきます。
もうひとつは、いざ応募するときに言葉が用意できていること。 何度もイメージしているので、面談で聞かれても、その場で作った答えにはなりません。
もう1つ、ふだんの仕事の中でできることがあります。
上位組織が何を考えているかを理解した立ち回りをしておくこと。
これをやっていると、面接のときに「営業の現場では得られない経験をしたいと思うようになった」という言い方が、自然にできるようになります。急に言い出すと取ってつけたように聞こえますが、日頃の動き方が伴っていれば、そうは聞こえません。
外に出る前に、社内を見る
経営企画のような管理部門は、そもそも求人自体が少ない職種です。大企業でも部署の人数は限られていて、採用の多くは欠員の補充。求人も非公開のものが多い。
外部の転職市場で、未経験から入るのはかなり難しいとされています。
でも社内なら、事情が変わります。何ができる人間かを、すでに周りが知っているからです。積んできた信用が、そのまま材料になる。
転職すると、この信用はゼロに戻ります。
職種を変えたいと思っている人が、いきなり転職サイトを開くのは、順番として少しもったいないかもしれません。
自分の会社に公募制度があるか。あるなら、直近の募集にどんな部署が出ていたか。
まずそこを見て、社内で動ける可能性がないと分かってから、外を見ても遅くないと思います。
移った先の経営企画で実際に何をしているか、営業と比べてどうだったかは、営業から経営企画に移った話に書いています。
ただ、社内で移っても、移った先での評価は一からでした。社外の転職と社内の異動で、何がリセットされて何を持っていけたかは、こちらの記事に書いています。
社内公募と社外への転職を両方やってみて、準備・お金・合わなかったときの逃げ道がどう違ったかは、社内公募と転職を比べた記事にまとめています。


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